ボーマンもない。
まだ失敗もしてない。
疲れ果ててはいない。
新しい月の始まりだもの。
な〜んで相田みつお風に始まった師走。
穏やかに過ごせるか、波風立つかはあしたの心であります。
朝イチでナレーションの校正作業。
午後イチで番組ラインナップ会議をがっつりと1時間。
間髪入れずにナレーション収録。
きょうは立ち合いとアドバイスのみ。
篠山の老健ホームに入所中のマサオからのLINEのつぶやきが繁く孤独が窺われる。
玉戸翁は元気だろうか? と心配するコメントがあったので十二指腸癌で手術したと伝えるも反応が薄い。
山田太一の訃報、ヴェンダースの新作の予告動画などの話題を振るとまた…
「ヴェンダースの新作映画、確か、役所広司が主演で、公共トイレ清掃員を描く物語と思う。トイレ清掃員ということで、玉戸翁のことを思った。翁は元気かな? 」と。
さっき伝えたけど…。
わかってるのか? と多少の苛立ちはあるが抑える。
誰もが自分ほど幸運に恵まれているわけではない、と。
仕事終わりでミナミ(千日前)へ向かう。
何年かぶりにK輪住職と吞む約束をした。
環状線で鶴橋、近鉄電車で日本橋、地上に出て法善寺の指定の店「えん」へ赴く。
久しぶりの難波エリアのハシゴ酒は楽しかった。
よく言われることだけど梅田や三宮は東京ナイズされた雰囲気があるけど、難波はザ・ナニワ、地域の固有種の人たちの色が濃さを感じ取ることが出来る。
うまく日録にまとまらないので今日も写真多め、フォト日記で綴ります。
午後5時半、一軒目の千日前「えん」で住職と合流。
カウンターの端の良席で始める。
京都の「食堂おがわ」を思わせる店の雰囲気や良し。
若い板前氏と給仕の女性二人で切り盛りする。
次々と予約の客が入ってくる。
人気店なのだ。
隣は若い男(三十代前半)一人と女性二人の3人グループ。
こういう店に来るには若い。
男の方は常連っぽい。
どこかのぼんぼんだろうな。
給料高いのかな、と思ってしまうのは劣等感だろうか。
こいつら味は分かってるのかな、とか、ハイボールや酎ハイなんか飲むんじゃねえよと心の中で毒づく。
やめとこやめとこ。
せっかくの美味しい酒が不味くなる。
ほろ酔いで法善寺方面へ。
昼間はK輪住職はご夫婦で京都で紅葉狩りだったそう。
当然、京都で夕食も、という流れだったろうと思うが…
きのう僕らからの誘いがきた時、奥さまは「行っといで行っといで」で嬉しそうに送り出してくれたとのこと。
「僕、飲み友だちがいないんで」
住職も来年還暦、みんな孤独なトシヨリになってきたということです。
法善寺、水掛不動の裏路地の狭い階段を上がる。
こんなところにバーが! と驚くほどの隠れ家感。
ゆったりしたスペースのカウンターにターンテーブルが置かれている。
流れているのはジャズ。
ウエス・モンゴメリーの「フルハウス」、あ、これライブ版だったのか。
入口近くの席は回るターンテーブルの目の前。
焚き火を見ながら飲むのと同じように飽きずに過ごせる。
住職が注文したデワーズホワイトラベルのロックをちびちび飲りながらライブ盤を聴く。
ドアが開くと若い外国人の男女4人組が入ってきた。
マスターが英語で対応する。
「チャージがかかりますがいいですか?一人1000円です。」
「ノープロブレム」と。
どこで見つけたのか、飛び込みっぽい。
確かに日本のバーは安全でアメリカやヨーロッパのバーみたいな恐いとこはないとは思うけど。
スペイン語を話す白人グループで奥のテーブル席でカクテルなどを注文していた。
あとで眼鏡堂氏にこの話を振ると…
「チャージかかりますよ、というと、そのまま帰る外国人が多いらしいですね」とのこと。
チャージは日本独自のシステムなのだろう。
二軒目は一杯で終えた。
以前に何度か行ったことのあるバー「夕顔」が移転して、この「川名」の下に居抜きで入ったらしい。
以前、その場所で小料理屋をやっていた女性が高齢で店を畳んだのだとか。
「夕顔」は先客あり。
八十近くの老人と五十代のマレーシア出身の男性。
日本には10年以上住んでいるという。
長身で男前、アジア人俳優のような雰囲気がある。
カウンターの端には若い、といっても四十代かな、の男性一人客。
店には淡谷のりこの戦前の録音が流れていた。
なかなかいい。
昭和の映画「銀座カンカン娘」が流れる
朝ドラ「ブギウギ」のワンシーンが流れる。
愉しい。
9時前のまだ浅い夜、高齢者バーは最高潮の盛り上がりを見せる。
帰りは御堂筋線で梅田へ。
大阪駅から普通電車、座れず立ちっぱなし。
なのに乗り過ごす。
15分待ち、寒いので自販機のコーンスープを買う。
この缶のあったかい感触に師走の到来を感じる。