ぷよねこ日々御留書 since2023

「にちにちおとどめがき」 毎日更新 日々の記録です。

2023年6月17日(土) 東信州2泊3日 Day 1 (松本〜美ヶ原〜湯の丸高原) 

美ヶ原高原レンゲツツジ群落にて@袴越

 

6時半起床。

関西地方は快晴、現地信州の天気予報は良し。

土曜日、JRも遅れず新大阪から予定通りの「のぞみ302号」自由席に乗車し朝食弁当を食べる。

名古屋駅にも遅れずに到着。

9時発「しなの5号」の乗客となる。

週末で梅雨の晴れ間、自由席は満席らしく指定をとっておいて賢明でした。

青空の下、木曽路を北上、11時05分 松本駅に到着。

アルプス口のニッポンレンタカーでヤリス(旧ヴィッツ)の新車を借りて信州の旅が始まる。

 

レンゲツツジの向こうには北アルプス 白馬連峰がくっきりと。

1日目の行動を記しておく。

松本駅を出て、少し道迷い、確認のために幹線道路沿いの蕎麦処「たきざわ」で昼食。

店の主人に案内してもらい、その通りにトレースする。

美鈴湖経由で美ヶ原スカイラインのつづら折りの登りへ。

最初の目的地は袴腰(かはまごし)のレンゲツツジ群落。

去年、山本小屋からの送迎バスの車窓から見たこの地の雰囲気が記憶にあり、一度来てみたかった場所。

たまたま今日は浅間山山麓へ行くだけの日なので立ち寄ることにした。

レンゲツツジはほぼ満開、残雪の北アルプスもクリアで最高。

ウキウキして散策する。

 

袴腰のツツジ群落  快晴の土曜日なのに…空いていた。

上部の群落は誰もいなかった!

放牧の牛が食べなかったからレンゲツツジ群落が残ったとか。

ザ・夏山!

走行距離160㎞のヤリス  ヤリスはヴィッツの後継車らしい。

安曇野乗鞍岳を望む。

 

もう一箇所、前回の送迎バスから見た大群落のある焼山へドライブアップ(造語?)。

しかし、標高の高い焼山周辺のレンゲツツジはまだ蕾が多かった。

美ヶ原自然保護センターに車を停めて浅間山方面や安曇野方面の景色を味わう。

上田へ峠道はまだ通行止めらしい。

また美鈴湖へ同じ道を戻らないといけない。

 

もう一箇所、思い出の丘なる展望台へ。

連れてきた動物たちを初夏の青空に放り上げる。

合成ではありません。見事なデュオジャンプです。

 

クネクネ道を美鈴湖まで下り、国道254号で東へ。

三才山トンネルを抜け、二箇所の片側一方通行を抜ける。

久々の運転で疲れたのか眠気が…!

セブンイレブンで休憩する。

 

午後5時半過ぎ、湯の丸高原の西川ペンションに到着。

「16年ぶりですね」とオーナーが出迎えてくれる。

2007年8月6日にこのペンションに泊まり、夏の夜空をガイドしてもらった。

ここは天文ファンが集まる星の宿なのだ。

驚くべきか、驚かざるべきか、ペンションは16年前と全く変わってなかった。

リニューアルなし。

ある意味、天晴れなほど。

16年前でもすでに古かったはずだが…。

昭和のペンションってこんな感じだったなあ。

 

変わらないというのはそれはそれで価値がある。

 

風呂と洗面所とトイレは共同。

エアコンはなし。

いまの若い人はどうだろう?

部活の合宿ならいいかもしれない。

最近、(僕らにしたら)上等な宿に泊まっているので、ある意味新鮮だ。

90年代は北海道のいわゆる“とほ宿”ばかり泊まっていた二人だもの。

土曜日だが、泊まり客は他に工事関係の男二人組のみ。

 

食事は…ま、普通かな。贅沢になったもので。(笑)

 

食後、20時からオーナーによる天文ガイダンスがある。

西宮では見られないくらいの満点の星空。

半分欠けた金星、北斗七星、北極星春の大三角形、夏の大三角形、天の川。

そして、これも定番らしく地上の星。(笑)

すっかり年老いたオーナーの説明も16年前と同じで、なぜか涙が出そうになる。

 

16年前、日記にこんなことを書いていた。

当時、僕は50代になったばかり、ヒロは48歳だった。

この日は9年目の結婚記念日だった。

ことしの8月6日は25年目になる

…今夜の宿は「西川ペンション星の宿」一泊二食7500円。
本当は湯の丸高原でなく、その先の高峰温泉に泊まりたかった。
8月は月末まで予約がいっぱい、高峰高原の他のホテルも満室だった。
ネットで近辺の宿を調べて見つけたのがこの格安の宿。
この手のペンションに泊まるのは久しぶりのような。

「星の宿」というだけあって玄関に天体望遠鏡が置かれている。
頭のはげ上がった50年配の主人、理系っぽい高橋克実(?)みたいな雰囲気。
(あの「トリビアの泉」のおじさんです)

玄関に鎮座するのは大口径の反射望遠鏡
おお、西村製作所!
天体マニアにはあこがれの名前だった。
階段の踊り場にも数機の望遠鏡がある。
ミザール、ビクセン、ケンコー、おお、高橋製作所の名機もあるぞ。
僕もかつて星にあこがれた天体少年の時代があった。
中学生の頃、天体望遠鏡を買おうと貯金した。
(「天文ガイド」を買って読むだけで夢は叶わなかったが)
望遠鏡や星雲の写真を観て、僕の中の記憶検索のスイッチが入る。

…夕食後、8時から星の観測会をやると言う。
雨も上がって雲の切れ間から星が見え始めた。
宿にとまっている家族連れを含めて10人ほどが夜の庭に集合。
芝の広い庭には天体ドームが3つ置かれている。
宿のオーナーがペンライトで空を示し、夏の星座の解説が始まる。
北斗七星、カシオペア(まだ昇っていない)から始まり、
こと座のベガ、わし座のアルタイル、はくちょう座のデネブ、夏の大三角形
ベガが織り姫、アルタイルが牽牛、明日は旧暦の七夕なのだ。
新暦の7月7日は梅雨のど真ん中だからたいてい星は見えない)
二つの星の間を天の川が横たわる。
はくちょう座はその銀河を泳ぐように翼を広げている。
そんな話を聞きながら星空を見上げていると懐かしい気分になる。

ヒロも天体には僕以上に詳しい。
独身の頃に皆既日食をタイ、ペルー、沖縄へ見に出かけ、
ハレー彗星を見にニューカレドニアに出かけ、携帯出来る屈折望遠鏡も持っている。
ハレー彗星の同好会「ハレークラブ」にも入っていた。
彼女も久々に天体心(?)をくすぐられ目が輝いている。

さあ、何を見ましょうかねえ とオーナーは楽しそうに言う。
じゃ、最初は私の一番好きな星をお見せしましょう、と天体用の巨大双眼鏡を天頂に向ける。
はくちょう座二重星アルビレオ」だ。
オレンジの二等星の隣に緑色の五等星が寄り添っている。
私のメールアドレスもalbireoなんですよ、とオーナーが言う。
(ちなみにJのアルビレックス新潟はこの美しいオレンジと緑の二重星から由来している)
ちなみに中学生の時、僕のお気に入りはおおいぬ座シリウスだった。
冬の空に青白く光るもっとも明るい一等星。
でも、これはおとめ座のスピカと並んで人気の星、ありきたりでもある。
アルビレオなんて渋いなあ。

 

 

次はなーにを見ましょうかあ とオーナー。
全て手作りのドームには口径31センチの反射望遠鏡がある。
ドームの入り口には「西川天体観測所」と誇らしげな看板が掲げてある。
衛星ガニメデ、イオらを従えた木星(ジュピター)を観る。
次に球状星団(M13星雲)を観る。
星の宝石箱と言われてるのです、と自慢げなオーナー。
次は星の最期の姿をお見せしましょう、こと座のドーナツ星雲を見せてくれる。
M57星雲だったか、写真では見たことがあるが肉眼では初めて。
アンドロメダはM31、ウルトラマンの故郷はM78)

オーナーはさすが天体のプロだけある。
肉眼ではとても見えない星を次々とファインダーに捕らえる。
ああ、これはペガスス座のこのあたりだから、るんるん、ほら捕まえたぞ、という具合。
その度に、うわあ、すっごいキレイ、見て下さい、すっごいですよ、などと興奮して言う。
アータはいつも見てるんでしょ、と突っ込みたくなるが
すごく嬉しそうだから微笑ましく聞いておく。

10時過ぎに星の観測会は終わる。
あっという間の2時間でしたね、いやあ明日からは大変なんですよ、とオーナー。
大学の合宿の予約が入ってましてね、徹夜ですよ、まいったなあ、と嬉しそうだ。
僕らも久々に星をたっぷり見られて楽しかったです。

二十歳を過ぎた頃からか、日常生活で夜空を見上げることがなくなった。
まず大阪で飲んでいたり編集で遅くなったりしても星なんて意識しない。
でも、昔は星の歌が沢山あったんだ。

♪よぞらをあおいで かぞえるほしも

加山雄三も星がお好きだったような。
作詞の岩谷時子さんが好きだったのかな?
若大将には満天の星空が似合う。
♪ 僕の行くところへついておいでよ 夜空にはあんなに星が光る…。
他にもあるぞ。
♪ 見上げてごらん、夜の星を…♪ 空に星があるように…とかね。

星を見よう。
久しぶりにそんなことを思ったのは重松清の「カシオペアの丘で」を読んだせいだ。
たまたまWEBで目にした西川ペンション星の宿を選んだのも小説の導きだったのか。

今日6日は9年目の結婚記念日でした。