きのう半分まで観た『夜明けのすべて』を最後まで観た。
ことし2月公開の映画だが、もうNetflixで配信されていた。
こころに沁みた。
いい映画だった。
見終わってから瀬尾まいこの原作であることを知った。
この映画には「そして、バトンは渡された」の世界があるな、と思った。
見終わってから監督が「ケイコ、目を澄ませて」の人だと知った。
そうか、画面に同じ空気感、同じ時間が流れてるな、と思った。
「そして、バトンは渡された」などで知られる人気作家・瀬尾まいこの同名小説を、「ケイコ 目を澄ませて」の三宅唱監督が映画化した人間ドラマ。
PMS(月経前症候群)のせいで月に1度イライラを抑えられなくなる藤沢さんは、会社の同僚・山添くんのある行動がきっかけで怒りを爆発させてしまう。転職してきたばかりなのにやる気がなさそうに見える山添くんだったが、そんな彼もまた、パニック障害を抱え生きがいも気力も失っていた。職場の人たちの理解に支えられながら過ごす中で、藤沢さんと山添くんの間には、恋人でも友達でもない同志のような特別な感情が芽生えはじめる。やがて2人は、自分の症状は改善されなくても相手を助けることはできるのではないかと考えるようになる。2024年製作/119分/G/日本 劇場公開日:2024年2月9日
ずっと見ていたい世界だった。
どこがいいのか?
心惹かれるこれというものがあるわけではない。
あえて言えば、もうすぐ朝がやってくる夜の居心地の良さだろうか。
目に見えないほど微かだけど明るい方に近づいているという予感。
こんな予感の漂う夜なら、夜が続くのもいい。
朝が来なくてもいいくらい。
主人公の二人が働くのは移動プラネタリウムや顕微鏡を作る中小企業だ。
天文の話、北極星やオリオン座が話題になる。
そのこともいい味つけになっている。
星の命の尺度で見たら、僕らの、僕の67年の人生なんてなんてほんの一瞬だ。
どんなに焦ろうと全力で走っても、ゆっくり散歩ペースで歩いても同じ一瞬。
何かに間に合うとか、間に合わなかったとか思うことが意味の無いことに思えた。
自分の人生をきれいにまとめなくていいのだ。
一瞬の星屑みたいな人生なのに何をエエカッコしようとしてるのだ?(笑)
ラスト近くの藤沢さん(上白石萌音)の朗読や山添くん(松村北斗)のモノローグを聞きながら思った。
三宅監督の演出はセンスがいい。
この先の展開を想像させてスパッと場面が変わる。
思わせぶりな夜はスパッと朝に変わる。
加えて、これ何の意味なんだろう? というシーンもある。
あえてすべてわかるように説明しない。
余韻を大切にする。
画面が美しい。
いや、美しいというより穏やかでやすらぐ。
絶景でもないのに画がなんでこんなに魅力的なんだろ?
これは作為でなく、人柄なのだろう。
本人は意識していないのでは、と。
そういう人はいる。
ファッションセンスとか、インテリアセンスとか。
瀬尾まいこの原作を図書館で予約した。
在宅3デイズの3日目。
出雲駅伝の中継を見る。
面白いレース展開だった。
関西勢は前半入賞圏内で健闘、中盤にしっかり定位置に収まった。
夕方、ジムトレ3回目。
小泉今日子演じる主人公の一人 野江(ノエチ)は大学の非常勤講師、五十代半ば。
このまま何者にもなれずに年老いてゆくのか、とつぶやく。
わかる。
むなしい。
わかる。
でも。
それなりに好き勝手に生きて、人生楽しんできたのだ。
むなしい?
何言ってんだ?
と自分に言う。
「夜明けのすべて」で感じたことを一瞬で忘れていた。