
朝、激痛で目がさめた。
ふくらはぎが攣る。
こむらがえりだった。
ヒロを起こして足指を反らせてもらう。
きのうの仕事のダメージだろうか。
きっとそうだ。
事情があって今回はテロップ原稿を早めに打っておかねばならない。
それも実はストレス、これは時間をかけてゆっくりマイペースでやりたいのだ。
珈琲とトースト半分だけにして朝から作業を続ける。
こんなときにヒロがテレビで見たマイナカードの再発行の話をしてくる。
いま仕事中だから、という顔をしてもかまわず話し続ける。
聞いていようがいまいが、話したいときに話し、怒りたいときに怒るのだ。
天気がいいのは救い。
いつもの木曜日よりひとつ遅い電車に乗るが、会社に着く時間は変わらなかった。
大阪駅の乗り継ぎでたまたま一つ早い環状線に乗れたからだ。
桜宮駅手前、大川沿いの桜が見事に咲いている。
蕾もあるので満開ではないのだろう。
収録準備、収録、編集手直しなどを経て、テロップ原稿の追加分を打つ。
12時半過ぎに局を出て、編集スタジオへ向かう。
朝はトースト半分だけだったので腹の虫が鳴く。
かつ丼が食べたい衝動あり。
でも、かつて駅前ビル地下にあった「とん亭」という店はもうない。
「祭太鼓」という変わり種かつ丼のチェーン店があったな。
変わり種は要らないけど普通のかつ丼もあるだろうと行くも自販機に列が出来ている。
並んでまで食べる価値はない。
結局、先週トマト煮こみチキンカレーを食べた阪神梅田駅の「ミンガス」へ行く。
昔よく食べたチキンカツカレーを食べる。
ライスは少なめにしてもらうが、チキンカツがでかい。
ルーを食べて記憶がよみがえる。
そうそう、こんなカレーだったなあ。

結婚前はこんなものばかり食べていた。
自信を持って(イバルナ)言えるが、ヒロと結婚してなかったら9割以上の確率で僕は死んでいるか、
深刻な血管障害で寝たきりか施設に入っていただろう。
いやいや、どこかの時点で改心して、そんな生活を改善するだろう、とは自己評価が高すぎるだろう。
ミンガスのチキンカツを食べながら、そんな感謝に思いを巡らせた。
編集スタジオに13時半過ぎに入り、19時前に終了。
メイン企画の手直しとウイークリーニュースとスタジオ部分の仕上げ。
結局、いつもよりちょっと早いだけだった。
何も食べず、酒も呑まずに帰宅する。
4月から厳しくなった自転車ルールの取締りがあるかもしれないので飲酒運転は避けたい。
ヤマダストアに立ち寄るが何も買わずに帰る。
セレクトショップ系スーパー。
品揃えは物珍しいが普段使いではない。
帰って「冷凍のおにぎりある?」と聞くと「いかめしの残りがある」
それでいい。
数日前、サッカーの日本代表とイングランドとの試合のハイライト映像を見た。
実は…ちょっと驚いた。
日本がめちゃ面白いサッカーをしていた。
速い、パスが面白いようにつながる、ピンボールマシンのよう。
全員がひとつの生き物のように連動している。
いつのまにこんなチームになったのか。
選抜チームなのにこの一体感。
アウエーでスコットランドとイングランドを撃破。
それを当たり前のような顔をして帰ってくる。
ヒロにそれを語ったらこう答えた。
「いま日本のサッカー界は高度成長期、より上のポジションに行きたいとモチベーションも高く、
いま、その環境が整ったんで、今はサッカーしてることが面白いんだろ思うわ」
国としては先進国になって久しい。
いま、衰亡も急でその一員から落ちこぼれそうになってるけど、ある意味 懐かしい勢いのようなものを感じる。
サッカー強国が辿って来た道、ひいては国そのものが辿って来た歴史だ。
数日前、なんとなく手持ち無沙汰で、サッカー日本代表とイングランドの試合のハイライトを眺めた。こういうのはだいたい、夕飯前の中途半端な時間に見るに限る。真剣に見ると疲れるし、かといって流し見ではもったいない。ビールを開けるかどうかで一瞬迷う、あの感じだ。
で、正直なところ、ちょっと驚いた。
いや、かなり驚いた。
日本が、やたらと面白いサッカーをしているのである。
速い。とにかく速い。ボールが足元に収まったと思ったら、次の瞬間にはもう別の誰かのところへ移っている。しかもそれが面白いようにつながる。まるで昔のゲーセンにあったピンボールみたいで、カチン、カチンと気持ちよく弾かれていく。見ていて妙に中毒性がある。
気づくと、全員がひとつの生き物みたいに動いている。誰かがサボると全体が崩れるタイプのやつだが、誰もサボらない。優等生集団というより、やたらノリのいいバンドに近い。ドラムが走ればベースも走るし、ギターも調子に乗る。そんな感じだ。
そういえば、全盛期のバルセロナとかスペイン代表のサッカーは“ティキ・タカ”なんて呼ばれていた。パスを細かくつないで相手を翻弄する、あのスタイルである。テレビで見ながら「はいはい、うまいですねえ」と、どこか他人事のように眺めていた記憶がある。
それがどうだ。いつのまにか、似たようなことを日本がやっている。
いつ、こんなチームになったのか。
代表というのは寄せ集めのはずで、普通はもう少しギクシャクするものだと思っていた。久しぶりに会った親戚同士みたいな距離感というか、どこか遠慮があるものだ。それがこの一体感である。合宿でもやっているのかと思うほど息が合っている。
しかもアウェーでスコットランドとイングランドを撃破。これを、わりと当たり前みたいな顔でやってしまう。
ぼくらの世代からすると、ちょっとした事件である。いや、事件というより軽いショックだ。昔は「善戦しました」で拍手していたはずなのに、いまや「勝って当然」の空気が漂っている。時代は変わるものだが、変わりすぎると人は少し戸惑う。
この話をヒロにしたら、こう言った。
「いま日本のサッカー界ってさ、高度成長期なんじゃないの。モチベーションも高いし、単純にサッカーやるのが面白い時期なんだと思う」
なるほど、と思った。ビールが少しうまくなる。
Jリーグができたのが1993年。そこから三十年ちょっと。人間でいえば、ようやく仕事が面白くなってくる年頃だ。言われたことをやるだけじゃ物足りなくて、自分なりの工夫を入れたくなる。失敗しても、それすらネタになる時期である。
いまの日本代表は、たぶんそのあたりにいる。
イングランドやイタリアやドイツみたいに、「勝たなきゃいけない」という重圧が常にあるわけじゃない。負けたら新聞の一面で叩かれる、あの感じとは少し違う。だからこそ自由にやれるし、その自由が面白さにつながっている。
ただ、ふと思う。
この先、日本が“負けることに怯える国”になる日は来るのだろうか。
そうなったとき、いまみたいな楽しそうなサッカーは続くのか。それとも、もう少し無口で、計算高いチームに変わってしまうのか。
テレビの画面では、相変わらずボールが小気味よく動いている。
とりあえず今は、この軽やかさをもう少し眺めていたい。ビールをもう一本開けるかどうか、また少しだけ迷いながら。
ChatGPTに奥田英朗のエッセイ風で、とリクエストしたらこうなった。