
先日 図書館で借りたヤマザキマリのエッセイ集「扉の向こう側」を読む。
最初の数編だけだが、わずか数ページに物語が詰まっている。
読む価値がある。
味が濃い。
時代も趣も違うが、去年のマイベストワンだった庄野英二「ロッテルダムの灯」に勝るとも劣らない。
どちらも読者が筆者と同じ体験をしているかのように感じさせてくれる。
臨場感が濃い。
文章が上手いのだろう。
きょう借りたばかりの若菜晃子という「山と渓谷」の元編集者のエッセイ集もいい。
若菜晃子さんは神戸市出身で親近感がある。
本には自身が描いたペン画のイラストがあしらってあり、ヤマザキマリと同じだ。
冒頭に一編の詩がある。
初夏のある日、こんな夢想、憧れを抱いた経験は山好きならあると思う。
誰かのnoteに書き写しがあったのでコピーさせてもらう。
美しい一日
一年に数度、たとえようもなく美しい日がある。
朝から光がさんさんと降り注いで、
あたり一面明るく輝いていて、
吹く風は澄んで心地よく、
ことのほか静かで、
足もとには柔らかな影ができる。
そうした日に、街を歩きながら、今日は山はいいだろうなあと思う。
山全体がまぶしく光っていて、
木々の葉がそよいでいて、
日の光がふんわり暖かいだろう。
歩いていると山の中の匂いがする。
花の香りがどこかから降ってくる。
鳥の声や沢の流れ、小枝を踏む音。
自然の音だけが聞こえる。
今日山に行っていたら、いいだろうなあと思う。
もったいないなあと思う。
山は今日一日美しくて、やがて夕方の光になって、
また夜の闇に包まれるのだろう。
そんなふうに思う日が、一年に何度かある。
続いて「前剣(まえつるぎ)」と題された一編。
山登りの素人だった著者が入社してほどなく「山と渓谷」の編集部に配属された。
職場のバイトさんに誘われて立山剱を縦走したときの体験記。
僕にも似た経験があるので微笑ましく読んだ。
続く「奥穂と校了」もいい。
がぜん著者の若菜さんに興味が沸いて、いろいろと調べてみた。
山と渓谷を退社されてから「ミューレン」という雑誌を創刊した。
数年前、京都の「恵文社」で見つけた安西水丸氏の山エッセイ集はこの雑誌の編集部から出ていて、
あとがきを書いたのが若菜さんだった。
同時に借りたのは平中悠一という人の「ギンガム・チェック」というエッセイ集。
僕より少し年下で、神戸、芦屋、夙川あたりをベースにしている作家。
PopeyeやBRUTUSのコラムのような、ポップな植草甚一のような、ブローディガンの「アメリカの鱒釣り」のような…
そんなテイストの文章。
バブルの香りもする。

若菜さんや平中さんの本は数年前に出たPopeye「ポパイの読書案内」を久々に読み返して知った。
雑誌にはこういう出会いがあるからいい。
昼イチで芸文センターのコンサートに行く。
木嶋真優のクラシック&ジャズコンサート。
彼女のコンサートは2回目?だろうか。
ステージ上で木嶋さんの自己紹介がある。
神戸の岡本で生まれ、逆瀬川へ引っ越し、中学は小林(おばやし)へ通っていた。
バリバリの阪神間の子だ。
「このホールのある西宮北口はいつも乗り換えていた駅でした。
きのう美味しい焼き鳥屋へ行って…鳥八さんというお店なんですが、
東京にあったら毎週行きたい…」
今度、行ってみよう。

前半はクラシックの「四季」、後半はピアノトリオといっしょにジャズ。
ジャズというか葉加瀬太郎みたいな演奏でした。
ピアノトリオを3階席から見るのは初めてで、ちょっと違和感あり。



![POPEYE(ポパイ) 2020年 8月号 [ポパイの読書案内。] POPEYE(ポパイ) 2020年 8月号 [ポパイの読書案内。]](https://m.media-amazon.com/images/I/51uoJrJaS6L._SL500_.jpg)