午前中は日録を2日分記し、午後から出勤、去年の丹後大学駅伝を見返して、メモをとる。
午後5時、早めの夕食というか晩酌。
京阪モールの「そじ坊」で冷酒で板わさ、カレー南蛮。
U-NEXTのポイントで映画を見た。
『ぼくが生きてる、ふたつの世界』@MOVIXあまがさき
「そこのみにて光輝く」「きみはいい子」などで国内外から高く評価されてきた呉美保監督が9年ぶりに長編映画のメガホンをとり、作家・エッセイストの五十嵐大による自伝的エッセイ「ろうの両親から生まれたぼくが聴こえる世界と聴こえない世界を行き来して考えた30のこと」を映画化。「キングダム」シリーズの吉沢亮が主演を務め、きこえない母ときこえる息子が織りなす物語を繊細なタッチで描く。
宮城県の小さな港町。耳のきこえない両親のもとで愛情を受けて育った五十嵐大にとって、幼い頃は母の“通訳”をすることもふつうの日常だった。しかし成長するとともに、周囲から特別視されることに戸惑いやいら立ちを感じるようになり、母の明るさすら疎ましくなっていく。複雑な心情を持て余したまま20歳になった大は逃げるように上京し、誰も自分の生い立ちを知らない大都会でアルバイト生活を始めるが……。
母役の忍足亜希子や父役の今井彰人をはじめ、ろう者の登場人物にはすべてろう者の俳優を起用。「正欲」の港岳彦が脚本を手がけた。2024年製作/105分/G/日本 劇場公開日:2024年9月20日
無音。
青い色が塗られていく。
舟にペンキを塗っていることが分かる。
やがて音がして、塗っている男に何かが伝えられる。
男は話が出来ないのか身振り手振りで答える。
(男の家)
玄関口の座敷に赤ん坊が寝ている。
隣の部屋でその家族が東北の方言でが遠慮のない会話をする。
男は赤ん坊を出来上げてあやす。
見始めてしばらくはちょっと画面に息苦しさを感じた。
サイズが詰まっていたのと、手持ちであったことと。
やがてそのタッチにも慣れる。
赤ん坊の母も耳が聞こえないことがわかる。
母は美しい。
その赤ん坊が小学生になり、中学生になる。
学校から帰ると電灯のスイッチを入れたり消したりして母に帰宅を伝える。
彼は耳が聞こえて話が出来る。
両親とは手話で話す。
やがて高校生になり、卒業して東京へ出る。
映画がラスト近くまで来てじんわりとこみあげるものがあった。
これは聾唖(ろうあ)の話じゃない。
自分の話だと思った。
クレジットを見て思い出した。
呉美保監督。
「みんないい子」のあの感じ。
いい人も悪い人もいない。
登場人物に分かりやすい役目を与えたりしない。
だって世界は「いい人」と「悪い人」で出来ているわけではない。
それは人の中に共存している。
見たいと思ったきっかけは例によってブログ『一日の王』だった。
そこにこう書かれている。
この手の映画は、感動を無理強いするものが多いのだが、
本作は(当然のことながら)そんなことはしない。
お涙頂戴の演出もない。
だが、後半にかけて、じわじわと目に涙が溜まってくる。
そして、不思議と、自分の両親(特に母親)のことが思い出されてくる。
その通りだった。
齢67の息子も齢92の母のことを思った。
母親の様々な表情が思い出されてくる。
すると、目に溜まった涙は決壊してしまう。
単なる聴覚障害の両親とコーダの物語ではなく、
観客の思い出をも誘発させ、普遍的な感動へと導いていくのだ。
これは凄いと思った。(ブログ「一日の王」より)
母親役は忍足亜希子。
聾唖の女優という彼女の存在は知っていた。
もう54歳になるという。
この映画では二十代から五十代(おそらく)を演じている。
ずっと美しい。
日活映画のヒロイン、昭和の清純派のイメージ。
そして、そのまま健気な母を表情でしっかり伝えていた。
差別、抑圧されてきた結果、“いつもニコニコしている優しい母” を演じてきた。
それが母の処世術でもあった。
ラスト近くの電車の中のシーン。
駅に降り立ち息子に「ありがとう」と言う。
涙腺決壊。
映画を見る前に主題歌のMVを見た。
なんだか押しつけがましさを感じた。
見終わって変わった。
これは母の手紙なのか…。
ふたたび涙腺刺激。
そして、決壊。
自分が大学に合格したとき、家を出たとき、会社を辞めたとき、
その時その時の母の顔が浮かぶ。
ずっと穏やかだった表情。
たぶん処分してしまったけど、ときどきこんな歌詞のような手紙をもらっていた。
今は手元にない。
主人公(吉沢亮)は東京に出て雑誌の編集のバイトを始める。
その仕事場で「自分がこうなりたい、みたいなのないっすよ」と言う。
これは二十代の僕だ。
同じ聾唖の両親に育てられた子供を主人公にした映画「CODA あいのうた」もいい映画だった。
あの映画の両親はアグレッシブで陽気だった。
日米の違いがよくわかる。
エンドロールで知った。
烏丸せつこ とある。
え?
出てたかな?
主人公の祖母だった。
手話は覚えず、嫁に冷たくあたっていた女。
最後は寝たきりになる。
あれがかつてのクラリオンガールだったのか。
そいえば風吹じゅんも72歳、麻生祐未も還暦を越えた。
あのころ、ちょっと年上の色っぽいお姉さんたちだ。
帰宅後、グンゼでラジオ体操とストレッチ、風呂につかる。
アトロクで紹介されていた「三郎丸蒸留所のスモーキーハイボール」を飲む。
なんだか水っぽくて全然おいしくない。
スモーキーさも感じられなかった。
先日飲んだセブンイレブンのスコッチハイボールの方が濃かった。