朝イチでナレーション収録の代行、そのままオンエア前の諸事を済ませると昼になる。
通勤途中、ホテルモントレの植え込みにある沈丁花から早春の香りが漂う。
花はまだ咲いてなかったが確実に春は近づいている。
今日は京都泊まり。
常宿ともいえるトラベラーズインがツインのシングルユースで3000円台で泊まれる。
眼鏡堂氏が次男の受験に邪魔になると家族全員の意見が一致し(口うるさいので)、昨日からワーケーション上洛。
ならば、と冬の陣とする。
前に吞んだのはいつだったか?
あのときは叡山電鉄の八瀬駅で待ち合わせたのだった。
眼鏡堂氏は午後から京都シネマで映画「対峙」を観るとの由。
予定より早めに仕事が片付いた僕は北野天満宮へ行くことにした。
梅の季節、かの飛梅は咲いているだろうか。
京阪のプレミアシートをおごり終点の出町柳、京都市バスで北野天満宮へ行く。
鳥居の前は客待ちのタクシー、観光バス、高齢者中心の団体で天神さんはごった返していた。
そうか、そうなのか。
受験シーズンでもあるし、京都の人気スポットは全国区だからなと一人納得する。
梅林のある庭園の入園料は1200円!
長居は無料と半時間ほどで退散する。
千本仲立売まで歩き、ふたたび市バスで四条河原町へ。
途中、みぶ操車場で運転士が交代する。
操車場から乗ってきたのは女子大生かと思える若い女性運転士。
彼女はなにゆえ京都市バスを志したのか、想像を巡らす。
冬の陣、当初は祇園「遊亀」に口開けを狙っていたが眼鏡堂氏より連絡あり。
「遊亀は、休みでした」
次なる選択肢は、「たつみ」か、「蕎麦まつもと」か。
バスを下りて裏筋に入った。
「たつみ」も休み、残るは高難易度の「蕎麦まつもと」。
奇跡的にカウンター手前の二席が空いていた!
5時半までの限定だがベストの店、ベストの席を確保、ほどなく眼鏡堂氏合流。
生ビールをグラスで一杯、以後は日本酒に切り替える。
僕は奈良の「篠峯」、眼鏡堂氏は鳥取の「日置桜」、他にも旨そうな酒が冷蔵庫に入っている。
料理もアテに最高、蕎麦で〆て1時間半で出る。
京都の町は歩いていても見るものが他の町と違うので楽しい。
あみだくじを遡るように北上してBAR「HAYASAKABA」へ。
いつ以来だろうと遡ると…一昨年の1月、都道府県対抗女子駅伝が中止になるその代替大会を取材したあとだった。
緊急事態宣言、ではなくまん延防止が出てた頃で、バーなのに8時閉店だった。
「うちは3時からやってるので営業しますが、営業しないで休んでるバーも多いですね」
7時で酒類ストップってのはさすがにバーでは無理だと思う。
ティーチャーズのホットウイスキーとカティーサークのスペシャル版をロックでいただく。
飲み終えてお勘定、午後6時前。
早坂さんが「あと2時間で閉店です」
そうかあ。
このあとお客さんは何人くるのだろうか?
緊急事態宣言、殺生だよな。 (2021/1/17の日記より)
HAYASAKABAではプロ野球の話。
バーテンダーの早坂氏はいかに西武ファンになったか? などの話で盛り上がる。
「スコッチで」と注文すると、アンディクアリーというブレンドを奨められる。
ボトルも変わっているが、味わいもどこか春のそよ風のようで爽やか。
「赤垣屋、ちょっと覗いていきますか?」
二条通りを東へ。
二条大橋から赤いネオンが見えた。
店の外にも客が並んでいた。
ダメ元で眼鏡堂氏が覗く。
小上がりの端席に席を得る。
今日はラッキーだ。
玄関先で飲む、二階への踊り場で飲んでいるような秘密めいた席。
学生時代に金沢の友人の下宿で飲んでるような気分になれて楽しい。
二人ならここでいい。
二人で熱燗を3本、鶏皮串とおでんの盛り合わせ。
冬の陣の〆にふさわしい。
歩いて岡崎のトラベラーズインへ。
66歳と55歳、三軒茶屋ならぬ三軒酒場の夜でした。
このトシになると大抵は思い出話に花が咲くことになるのだが、
今宵は思い出話だけではなく、“いま” の話題も半分以上ありという心楽しい時間でした。